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みなさま、こんにちわ!元町映画館の斉藤です。

今回はアンコール上映のご案内です。

昨年も同じ時期にアンコール上映を開催しましたが、
今年もやります!!

「見逃していた!」という方も…
「また観たかった!」という方も…
「ノーマークだった!」という方も…
ぜひこの機会にご鑑賞くださいませ!!


作品選定は昨年同様、お客さまの投票結果を反映させました。
2015年当館では計179本の映画を上映しましたが、一体どの作品が選ばれたのか?!

気になるBEST10の発表と、アンコール上映作品(1位〜4位)をご紹介します!


第10位 『FORMA』
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坂本あゆみ監督衝撃のデビュー作が公開期間が短かったのにも関わらず堂々ランクイン!邦画の新たな才能を紹介する企画「JAPAN NEW WAVE」該当作品で、次回作が待ち遠しい大注目の監督のひとり。


第9位 『ザ・トライブ』
『ザ・トライブ』メイン画像
聾唖者の寄宿学校を舞台に設定することで、全編が手話だけで描かれる、つまり台詞が一切排除された異色の作品。分かりにくい映画かと思いきや、饒舌に語りかけてくる、新たな映画体験!



第8位 『神々のたそがれ』
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ストルガツキー兄弟のSF小説を映画化した巨匠アレクセイ・ゲルマン監督、最後の傑作!起承転結なし、分かりやすさ皆無だが、強烈な印象を残す!これこそ映画館で観てほしい映画!


第7位 『共犯』
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台湾の新鋭チャン・ロンジー監督作。エンタメに徹しつつ映画通も唸らせるスマートな語り口が素晴らしい!川島小鳥さんの写真集『明星』でおなじみヤオ・アイニンさんも出演!


第6位 『薄氷の殺人』
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『グランド・ブダペスト・ホテル』『6才のボクが、大人になるまで。』など並み居る強豪を押しのけ第64回ベルリン国際映画祭で金熊賞受賞!個人的にもう一度スクリーンで観たかった作品。



第5位 『ソレダケ / that's it』
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ブラッドサースティ・ ブッチャーズからの熱烈なラブコールから生まれた石井岳龍監督(ex石井聰亙)によるロック映画!劇場が揺れていました...!!


これよりアンコール上映作品です

第4位 『Mommy/マミー』
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いま最も熱い視線を集める俊英グザヴィエ・ドランの第5作。15歳の息子スティーヴを育てる気の強いシングルマザーのダイアン。スティーブはADHD(多動性障害)のため情緒も不安定で、そんな息子との生活に右往左往していたが、隣家に住む女性教師のカイラと親しくなったことから少しずつ日々に変化が訪れる。常識に囚われない挑戦的な作風にも注目。


第3位 『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
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人気バンド「ベル・アンド・セバスチャン」のスチュアート・マードックが自身の同名ソロアルバムを映画化。拒食症で入院している少女イブは病院を抜け出して訪れたライブハウスでアコースティックギターを抱えた青年ジェームズと知り合う。やがてその音楽仲間キャシーを含めた3人で音楽活動を始めて...。物語を彩る70年代風のポップなファッションや音楽が心地よい。


第2位 『百円の恋』
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実家に引きこもり、自堕落な生活を送っていた女性が、ボクシングを通して変化していく姿を描く。安藤サクラが日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝き、足立紳が最優秀脚本賞を受賞した。離婚して出戻った妹とケンカした一子はやけになって一人暮らしを始める。百円ショップで深夜勤務の職にありついた一子は、その帰り道、中年ボクサーの狩野と出会い…。


第1位 『ハッピーアワー』
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お客さまによる人気投票堂々の第1位(ちなみにスタッフ間でも1位)。30代も後半を迎えた、あかり、桜子、芙美、純の4人は、なんでも話せる親友同士だと思っていた。しかし、純が1年にわたる離婚協議を隠していたことが発覚したことにより4人の関係にも波紋が広がる。本作では現代に生きる女性を等身大で描き、誰の身にも起こり得る物語として普遍的な問題を提示する。



ということでアンコールは
『Mommy/マミー』『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
『百円の恋』『ハッピーアワー』に決定いたしました。 パチパチパチ


投票結果はいかがでしたでしょうか?
「わたしの大好きな作品がランクインしていて嬉しい!」「あれ? おれの大好きな作品が入っていない!」いろいろな声がありそうですが、順位がどうであれ、自分が大好きだと言える作品に出会えることは素敵なことですよね。
それぞれに自分が熱を込めて語れる作品があるようで、コメントを読んでいても楽しかったです。

とはいえ、自分の好きなジャンルだけに偏っていく(これがほとんどの人のの鑑賞スタイルなんですが…)のは少しもったいない気もします!

上位に食い込んだ作品はラインクインしただけに、何か作品の中に強い魅力があるはず。その秘密は観てみないことには分かりません!食わず嫌いをしていた方は、みんなが大好きだと言ったこれらの作品を、この機会にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

(スタッフ間の投票結果もぜひご覧ください 


今回の特集タイトルはすばり「やっぱ、好き!」。
みなさんの「やっぱ、好き!」を集めた「2015年のアンコール上映」
ぜひご来場ください!

**********************************

一般1500円/3回券3600円
『ハッピーアワー』は長尺のため3部構成になります。3回分の料金になりますのでご注意ください



何なんだろう、このおもしろさは。
本国韓国でも興行成績が良かったとは聞いていたけれど。
ワクワクドキドキし、ハハっと笑わせ、時にはしんみりさせる。
もうハリウッドを超えたんじゃないかと思わせる、韓国映画の進化ぶりを見た。

物語の主人公は、高級外車盗難事件を捜査する熱血刑事ドチョル。
その捜査中に、一人のトラック運転手に出会う。
しかしその後、運転手の息子からドチョルに電話が入る。
父親が意識不明の重体だ、と。
それはシンジン物産を訪れた後だった。
シンジン物産側は、彼が勝手に起こした事故だと言うが―。

とにかくアクションが凄い。
後半の明洞の暴走シーンなんて、どうやって撮ったんだろう、
よく事故もなく撮れたなあ、と思った。
役者も凄い。
えっ、そんなことまでするの?と思うぐらい、体を張って演技をしていた。
ユ・アインなんて、韓国ドラマの王子様役はどこいったの?
というぐらい、悪役全開の財閥の御曹司役。
ファン・ジョンミンは、アクション俳優だったっけ、と思うくらい、
切れっきれの飛び蹴り。

ちなみにファン・ジョンミンは、
かつて当館が上映した『新しき世界』で、
イケメン主役のイ・ジョンジェよりかっこいい♡と、
当館支配人が目を付けていた俳優さん。
あれよあれよ、という間にヒット作に連続出演し、
今は脇役ではなく、もう安定した主役。

韓国ドラマでおなじみの、ナッツリターン事件と同じく、
財閥のずるさも描かれているけれど、とにかくスカッとするおもしろさです。
エンディングすら、オシャレです。
是非、劇場で体感しにきてください。

(空飛ぶ猫)

冬の光
(C)1963 AB Svensk Filmindustri

ベルイマン『冬の光』


 スウェーデンの冬はさぞかし寒かろう。今回ご紹介するベルイマン『冬の光』は、観ているだけで冷たい空気が身体にまとわりついてくるような厳しい冬の情景を背景に、とある教会で起こる複雑な人間模様を映し出しています。冷え切った身体が堪える寒さの中、思考が鈍ってゆく状況下では、宗教による心の救済も叶わず、むしろその神の不在に対する葛藤が募っていくばかりです。

 この映画の主人公はトーマスという一人の悩める神父であり、心のわだかまりを抱えながらも日々教会を訪れる信者に祈りを捧げています。信者に対して祈るべき存在の神父であるのにもかかわらず、彼は過去の妻の死の悲しみから逃れられず、またその後のあらゆる人間関係に悩まされ、ついには利己的な思考に陥ってしまいます。それは物語が進行するにつれて色濃く描かれていきます。

 神の不在に対する苦悩を描いたこの映画は、プロテスタントの上級階流に生まれながらも、宗教の偽善的な在り方にうまく馴染めず、演劇への道を志すこととなるベルイマン本人の自伝的な映画であると言われています。それゆえにこの映画において宗教というものは、敬虔な信仰によって成り立っているものではなく、むしろ宗教に従事する労働によってかろうじて成立しているようなものとして描かれているようにも見えます。それは宗教の物語を超えた先のリアリズムに希望を見出したベルイマンにとって重要なポイントだったのではないでしょうか。主人公トーマスの精神状態に関しても、利己的といってしまえばそれまでなのですが、この利己的な思考の在り方の先にある精神の自立への渇望と考えることもできるかもしれません。

 またこの映画はごく自然で微細な俳優たちの振る舞いから読み取れるものがきわめて多く、感情的でないシーンほど情報量が多いように感じます。そういった映画全体の質の高さが、静かな映画でありながらも退屈にならない理由なのかなと思いました。

 この映画について多くを語るのは野暮かな、とおもいます。ですので是非とも劇場に観にいらしてみてください。寒い冬にぴったりの映画です。
(舘)




『僕たちの家に帰ろう』はタイトルの通り、家までの帰路を撮った作品だ。
家に帰る。ただそれだけの行為を映画として成立させるのだから、
主人公は並々ならぬ特殊な立場にあるというわけだ。

家を目指すのはバーテルとアディカーの兄弟。
ふたりとも幼く、平均して10歳くらいだろうか。
兄バーテルは祖父の家で、弟アディカーは学校の寮で暮らしていたが、
やむを得ない事情により、親、つまり家を探す旅に出る。

子供が親を探すロードムービーと言えばいくつか頭に浮かぶ。
いずれも子供の成長物語としても体をなしており、
観客は親さながらの視線であたたかく見守る。

しかし、本作はすこし事情が違う。
バーテルとアディカーふたりの姿を見つめていると
応援する気持ちよりも、どうしても不安が勝ってしまうのだ。

理由はふたりにとっての家がすでに存在しないということに尽きる。
どういう事かというと、彼らはユグル族と呼ばれる少数民族で
〈一定の家を持たない〉遊牧を生活の糧とした民族なのだ。

ふたりは広大な砂漠を彷徨いつつも、かつて家が在った場所にたどり着く。
だがもう、そこに家はない。

この帰路に結末はあるのだろうか?
何せ水を探すのにも一苦労する不毛の土地だ。
これほど厳しいロードムービーはなかなかないだろう。

唯一の希望は旅を共にするラクダ。
ラクダは水を見つけるのが巧い。過酷な環境に順応するように身につけた能力か。
この特性だけを頼りに、映画は見えない家に向かってゆっくりと進む。

フィナーレ、家よりも中国という「国」が見えてくるという仕掛けには驚いた。

(斉藤)
「JAPAN NEW WAVE」という冠が
ここまでぴったりとハマる監督がこれまでにいたでしょうか!

今回ご紹介するのは五十嵐耕平監督の『息を殺して』。

東京藝術大学大学院修了作品であり、
第67回ロカルノ国際映画祭の新鋭監督コンペティション部門に
正式出品された作品でもあります。

新たな才能を発掘、応援することを目的とした企画
「JAPAN NEW WAVE」で数々の新鋭監督を紹介してきました。

が、その中でもこの『息を殺して』には明らかに異質な匂いを感じます。


他の監督といったい何が違うのか。





この作品を観て、みな口を揃えて言う言葉は〈浮遊感〉。

この地に足つかない鑑賞後の気分は
おそらく説明を極力排したミニマムな語り口によるものです。

この作品では若手監督に珍しく、
積極的に引き算が施されている印象を受けます。

例えば、

劇中の会話の中でけんくん(見たところ20代)の
友人が「入隊して死んだ」ということが分かります。

それ以前のシーンで時が2017年の大晦日と示されているので
この映画は今からわずか2年後の設定ということになりますが、

若者が戦死したという情報から現代から状況は一変しており
『息を殺して』独自の世界が築かれていることを観客は汲み取ります。

このように与えられる情報は断片、カケラのようなものですが、
その小ささ故、想像力を刺激する仕組みに本作はなっています。

これは小説を読んでいるときの感覚と少し似ていて
脳内でおぼろげですが無限のイメージが
広がっていくようで、それ自体はスリリング、
映画の空気感とは反対にこちらのテンションは上がっていきます。


また五十嵐耕平監督が他の監督と一線を画す理由は
物語を語ることに懸けていないところにもあると思います。

監督は映画がドラマチックに展開していくことよりも
人が抱える言うに言われぬ感情に関心があるようです。

それが端的に表れるは死者と邂逅するシーン。

映画ならではの展開でもあるし、
見てはいけないものを見てしまった登場人物の反応が
我々からすると気になるところではありますが、
そのホントに直後、交わされる話題はラーメンなんです。

「◯◯ラーメン、あそこのラーメンはまずい」

まるで、劇的になることを拒んでいるかのようです。


それともうひとつ箇所を挙げるとすると、
大晦日にサバゲー(サバイバルゲーム)をするシーンになります。

このシーンはストーリー的には必要ないとも言い切ることができます。
しかし、作品のムードを決定づける最も重要な場面のひとつです。

彼らは藪の中で銃を片手に見えない敵と戦います。

それはサバイバル“ゲーム”であるはずなのに笑顔はありません。
まるで戦争の再演をしているといった具合です。

見事な演技で若者たちは撃たれ、
バタバタとリアルに倒れていきます。

ペイント銃ではないので観客からすると撃たれた判断をしかねるし、
やっている本人たちにも分かるのかな
とサバゲー未経験の私からすると疑問が残りますが、

これらの何とも言えない不思議な感覚が
『息を殺して』の醍醐味と言えます。

このサバゲーシーンの名台詞、
戦場でのプロポーズもそれに一役を買っています。

その渇いた言葉は(というより渇いた人間は)
どこか浮世離れしているように感じますが、
同時に現代を象徴しているようでもあるのです。


そして映画は結局ラストに至るまで登場人物の抱える問題も
すっきりしないまま幕を閉じます。

それは前述の通り、物語に起承転結なんてものを
はじめから目指していない作風なので、
反感のようなものは全く感じないでしょう。

それがなくとも、ひとつひとつのシーンを描く五十嵐耕平監督の
類い稀な筆力が、作品の吸引力となっているので、
多くの人が『息を殺して』の虜となってしまうのです。

(斉藤)
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