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《STAFF REVIEW》公開中『Dressing Up』 1/22(金)まで公開


Dressing UP


黒くどろどろした何とも言えないような暴力的な感情。
大人でも子供でもない多感な時期に誰しも経験したことがあるでしょう。
その感情はいわば育美がそうであったように、モンスターのような表情をしているのかもしれません。
それは彼女自身が見ているものなのか、父親が見ているものなのか、また私たち観客が見ているものなのか。
危ういバランスによって維持されている中学一年生の少女を安川有果監督は見事に描き出します。
そしてさらに、圧巻ともいえる祷キララちゃんの演技。
12歳とはとても思えません。


祷キララちゃん演じる中学一年生の桜井育美は、幼い頃に亡くした母の隠されていた過去を知るにつれて、自分の中にも母と同じような暗い感情がうずめいているのを感じます。
母が彼女をのっとっるかのように、また母を再現するかのように、育美は暴力的な行動を次第に繰り返していきます。

育美はただ最初からそうした心の闇に蝕まれていた訳ではなく
母が抱えていた「一度ばらばらにしなければならない」「人間でなくなる前に」と言った言葉がちょうど思春期にさしかかっている育美の心にぴったりとあてはまったのだと思います。
そうしたある種不安定な時期は誰しも持っているものであり、むしろ母に拠り所を見つけられた育美は安心しているのかもしれません。
いじめられっこの男の子が自分をこういう役回りが多いと吐露することで自身を納得させるように、多くはどこにもぶつけられない思いを自身の中でなんとか処理してしまおうとしてしまいがちなのではないでしょうか。
育美と対比して描かれる優等生の少女との最後のシーンはとても印象的なものでした。
育美の暴力的な側面とそこから抜け出した側面とがぶつかりあったような表情が解釈を広げさせてとてもよかったです。

断片的に観ればホラーとも思える要素がたくさんあり、
常に緊張感ではりつめた、どこか不安にさせるような雰囲気を持っていますが
それだけではなく、人間味のある情感に富んだ映画でもあると感じました。
作品自体は短いですが見ごたえは十分です、是非観てみてください。

(トト)

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新しい日本の新人監督を応援するJAPAN NEW WAVE作品。今作で18作品目。
1/22(金)まで公開中。連日14:50から。

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