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海賊じいちゃんの贈りもの

 あぁ、これは完璧に油断していました。前情報もほとんど入れずに観たのですが、「やられた!」と思わずにはいられませんでした。

 映画は、父ダグ、母アビー、9歳の長女ロッティ、6歳の長男ミッキー、4歳の末っ子ジェスのマクラウド一家がダグの父で子供たちのおじいちゃんであるゴーディの75歳の誕生日を祝うためにロンドンからスコットランドへ車で向かうところから始まります。母アビーを演じるのは昨年「ゴーンガール」で世の男たちを心の底から震え上がらせたロザムンド・パイク。やはりというか何というか、今作でも夫婦関係は最悪で現在絶賛別居中、でもそれを世間に知られるのは嫌で表向きには仲の良い夫婦を演じていたりします。もちろんそんな嘘が実の子供たちに通用するわけもなく、3人の子供たちはうんざり。嫌な現実から逃れるためなのか、それぞれいちいち何でもメモしたり空想癖があったり石が異常に好きだったりします。

 ダグとアビーだけでなく、スコットランドのおじいちゃんの家に着いたら着いたで次から次へと些細なことで言い争っていがみ合う、どこかが壊れている大人が山ほど出てきます。本当に身勝手で嫌な大人ばかりの中で唯一子供たちが心を許したのはおじいちゃんだけ。4人は大人たちを尻目に浜辺へ繰り出し、かけがえのない時間を過ごします。が、しかしある悲劇が子供たちを襲います。大好きなおじいちゃんのために純粋な子供たちが起こしたある行動をきっかけに、ダグとアビーを始め周りの大人たちは大ピンチを迎えてしまいます。

 僕は、今作を観ていて「あまちゃん」を思い出しました(来年1月16日から「あまちゃん」を手がけた井上剛さんが監督を務める「LIVE!LOVE!SING!」が当館で上映されます)。あの社会現象を引き起こした朝ドラの主人公家族も、マクラウド一家と同じくパッと見には分からないけれどどこかそれぞれおかしくて、少し壊れていました。そして、どちらの作品も子供が起こした出来事によって周りの大人たちが右往左往し、そしてほんの少し家族や仲間の関係性が変わっていきます。あと、どちらの作品も「海」が非常に重要な役割を背負っています。

 僕はさっき、家族や仲間の関係性が「ほんの少し」変わっていきます、と書きました。「再生」ではありません。ここが重要だと思っています。マクラウド一家は最初から世間的に考えられる「理想の家族像」というものからはかけ離れています。最初から家族としてぶっ壊れているんだから、「再生」しようがありません。マクラウド一家のみならず、この映画に出てくる人たちが抱える問題は、この映画が持つどこかファンタジー的な雰囲気によってコミカルに描かれていますが、よく考えたら本人たちからしたらとても切実なものです。描き方によってはとてもシリアスにすることも出来るはずです。誰一人完璧な人間なんていません。そして、この映画はそんな身勝手で不完全な人間を否定しません。どれだけ上手くやろうとしても、お互い欠点を持った生身の人間同士だから、いがみ合うし、失敗するし、到底完璧なんてあり得ない。でも、それでいいじゃない?上手くいかなくて、まともじゃなくていいじゃないか、とゴーディおじいちゃんは観客である私たちに語りかけてくれます。だから、子供たちのピュアな演技もさることながら、アビーが終盤に大人数の前で啖呵を切るシーンが僕の中で一番心揺さぶられました。皆さん、ロザムンド・パイク、ただただ怖い奥さんじゃないんですよ。

 今年は邦画のイメージが強かった元町映画館ですが、この年の瀬に良質な洋画を用意しておりました。上映は12月26日~来年1月15日という、色々と忙しい時期。だからこそ、ぜひふらっとこの映画を観て、「自分はいまダグやアビーのようにイライラしていないだろうか?」とか、少し立ち止まって考えるきっかけになればなと思います。                  (肥田)
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