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舞台は湘南の老舗旅館、茅ヶ崎館。
かの巨匠・小津安二郎が脚本執筆で愛用していた定宿としても知られる旅館である。
映画は軽やかなジャズに乗せ、爽やかな夏の光景から幕を開ける。
スクリーンに広がる夏は、暑さと湿気でぐったり精気を奪われる現実の夏ではなく、
記憶の中の“夏”だ。眩しいほどの日射しにくっきりと輪郭の際立つ影、揺らめく遠景、
焼けるアスファルト、セミの声。ああ、ノスタルジー…とうっとりしていると、
映画の中の人物がどんどん増えるに連れ、なにやら雲行きが怪しくなってくる。

空気を読まず思うままに行動する女、言いたいことが言えず自爆する女、
正論の裏に承認欲求を潜ませている女、エトセトラ、エトセトラ。
なんだなんだ、この面倒くさいヤツらは。
冒頭で身を浸していたノスタルジーはどこへやら、
彼らの気まずさ、一触即発の緊張感、空回りの痛々しさで画面が満たされてゆく。

ところがこれが、抜群に面白い。

「男女7人の恋愛群像劇」と紹介される本作の、中心にいるのは女たちだ。
その女たちの描き方が、まぁ、えげつない。
えげつないというのは露悪的とか過剰な表現ということではなく、
よくもまあここまで歯に衣着せずに描いたものよ、という意味である。

公式サイトでは「女心のリアリティー」というキャッチコピーが使われているが、
リアルもリアルすぎてアイタタタ、である。
こんなヤツいるいる、こういうこと言われたことある、昔の自分を見てるみたい、
この空気知ってる…女性なら誰しも、彼女たちの言動は身に覚えがありすぎるのだ。
そしてセリフがいちいち巧い。うーん、すごい。
ウディ・アレン、エリック・ロメール、ホン・サンスなどと並び称されるのも頷ける。

演出もさることながら脚本も見事なものだと思い調べると、
監督が脚本も手がけている。
フムフム、三澤拓哉監督、27歳(当時)。

…に、27歳?!

表情に仕草に行動にセリフ、男性監督の映画に描かれる女性で、
女が観て細部までリアルに感じることは稀だ。
なのにこの映画では、女しか知らないような女の姿もリアルに描かれているではないか。
若い男性でなぜこんなことが可能なんだろう。
インタビューなどを読むと、「人間観察が好き」という言葉が出てくる。
ではこの人物描写は観察の賜物なのかもしれない。
とすると、三澤監督の観察眼はハッキリ言ってタダ者じゃない。
すごすぎる。てか、怖すぎる!

11/22(日)には三澤監督を招いて映画終了後にお客さまとの座談会を開催予定だが、
ぜひそこで監督自身を解体・解明したいものだ。

(mirai)

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