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《STAFF REVIEW》10/24公開『私たちのハァハァ』その②




文字通り、この映画はとっても「ハァハァ」である。

「ハァハァ」は、走ったり体力を消耗して息切れしている状態でもあるが、
ネット用語(というかスラング)として、
自分が愛情を抱いたり可愛いと思える対象に対して使う言葉でもある。

映画の主人公である4人の女子高生は、
人気バンドのクリープハイプに「ハァハァ」している。
ハァハァが高じて、地方ライブの際に出待ちして彼らにかけられた
「東京のライブにも来てね」という言葉を自らの至上命題だと思い込むほどだ。
九州の片田舎に住む(そしてバイトもしていなさそうな)普通の女子高生に、
気軽に東京に行ける術はない。
そして彼女たちは、自転車で走り出す。
そこからの彼女たちは、「ハァハァ」と息を切らしながら東京を目指すのである。


これは彼女たちの、「ハァハァ」の記録なのだ。


大好きな人の、そのすべての言動が自分の人生を形作っている気がする。
望まれるなら、全力でどこまでも駆けてゆく。
この愚かさは青春の特権であり、
それを二度と手に入れられない私には彼女たちが眩しくて仕方がない。

大人になっても、一生懸命になって汗だくで頑張ることはできる。
友だちと心から笑い合うこともできる。
バカなことを真剣にやることだってできる。
でも、身に着けた知識や知恵を捨て、愚かな自分に戻ることは二度とできない。
好きなアーティストに夢中になることはできても、
その人の発言を真に受けるなんてことはもうできないのだ。


LINEやTwitterの画面をスクリーンに映し出すなど、
現代を上手く取り入れた映画作りが代名詞になりつつある松居大悟監督だが、
彼の真骨頂はそこではない。
前作『ワンダフルワールドエンド』(映画史に残る傑作!!!)でもそうだったが、
思春期の少年少女たちの〈何かを希求する切実な気持ち〉を
誰よりもリアルに描けること、これこそが彼の映画最大の魅力ではないだろうか。
どんなにドラマを荒唐無稽にしても、
この表現があるだけで映画はリアルなものとなり得る。
そしてこの感情こそが青春の姿であり、私たちが失ったものと同義なのだ。

『私たちのハァハァ』は、主人公たちと同世代の子たちが観てもとても魅力的だろう。
そこには共感がたくさん詰まっている。
だがしかし、私はいま、この年でこの映画に出会えたことを嬉しく思う。
自分にとって青春は、渦中にある時はただひたすらどろどろと汚く苦しいものだった。
それでも、時を経て振り返る青春は、やはり美しい。
それを眩しく眺められるのは、いまこの年なのだからだと思う。

ぜひ、大人たちにもこの映画を観てほしい。

(mirai)

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motoei_staff

元町映画館スタッフブログです。
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