FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

《STAFF REVIEW》10/3公開『ローリング』 その④

《STAFF REVIEW》10/3公開『ローリング』 その④

Rolling_2.jpg


《ストーリー》
水戸のおしぼり業者で働く貫一は、10年前学校内で盗撮事件を起こし行方をくらましていた元高校教師の権藤と再会する。
権藤はかつての教え子たちにつかまり糾弾され面目を失い、さらに東京から連れて来ていたキャバクラ嬢みはりに貫一が一目惚れし権藤から奪ってしまう。
一方かつて権藤の盗撮した動画に録画されたある人物に目を付けた貫一の悪友たちによって、芸能事務所を巻き込んだ思わぬ騒動へと発展していく…。
映画「ローリング」公式サイトより引用

 この映画に登場する人間たちは、盗撮事件を引き起こす権藤先生をはじめみんな揃いも揃ってどこかしらちょっと人としてどうなのよ?という人たちばかり出てきます。権藤先生のどうしようもなさは言うまでもなく、その先生の教え子たちも、まあ、蛙の子は蛙ではありませんが、血が繋がってなくても教師と生徒も似てくるんでしょうか?主人公の貫一も含め何とも「ああ、こりゃ駄目な大人の見本だわ」って感じです。ある意味、色々過去に過ちは犯したけれど何とかやり直そうとする権藤先生は、実のところまともなのかもしれません(まあ、その更生への道はことごとく上手くいかないのですが)。これ、僕の勝手な想像なんですが、権藤先生は高校では普通に先生やってたんじゃないでしょうか。権藤先生、真顔だったら結構怖いですし、体育教師だったらしいですし。貫一たちも、盗撮騒動で権藤先生が失踪して初めて権藤先生がそういう人だったと知ったのではないのでしょうか。何か、根っからの悪い人には見えないんですよね。「不良になる」と言ったもののなりきれてるようには思えないですし。

 映画は、権藤先生が撮った盗撮動画を巡って人々が悪だくみを企み、しかしその企みは上手くいかずみんなおかしな方へどんどん転げ落ちる=ローリングしていきます。その様は泥臭く滑稽ですし、愚かそのものです。悲喜劇、ブラックコメディとも言えますが、この映画は一つのジャンルには収まりません。オープニングの夜の大工町を権藤先生とみはりが逃げ回るシーンはフィルムノワールのようですし、貫一とみはりのラブシーンは堂々と二人とも裸体をさらけだしエロティックです(権藤先生役の川瀬陽太さんは数々のピンク映画に出演しています)。そしてみはりは映画の冒頭で足を怪我するのですが、その怪我は良くなるどころかどんどん悪化して不吉な印象を与え、ちょっとホラー的です。流れる音楽もどことなく不穏です。

また、この映画の話や登場人物たちは一見すると現実には存在しないような感じがしますが、監督はこの映画のロケ地である水戸についてかなり色々と調べたらしく、映画のキーワードとなる「おしぼり」や「ソーラーパネル」などは実際水戸で聞いた話をもとに出てきたそうです。話の発端となる教師の盗撮、要するに不祥事も、近年の教職員の相次ぐ不祥事から発想を得たそうです。

 つまり、映画「ローリング」という世界は、冨永監督の頭の中で生み出された全くの異世界な話なわけではなく、我々の生きるこの世界と地続きなのです。

 この映画は、登場人物を徹底的に突き放すわけでもなくかといって寄り添うように、というわけでもなく非常に何とも言えない微妙な距離感の取り方で登場人物たちを描いています。このとても“何とも言えない”距離感が、ラストの少し救われたような結末に繋がっているのかもしれません。「先生に感謝してるやつがいたよ。」予告編でも登場するこのセリフ。さて、あの自堕落でいいところなんか一つもないように見える権藤先生は、一体誰に感謝されたのでしょうか?ぜひ劇場でお確かめください。

 最後に、このスタッフレビューがMOTOEIBLOGに掲載される10/3(土)は、元町映画館でのローリング初日であり、冨永昌敬監督、主演の三浦貴大さん、柳英里紗さん、西桐玉樹さんの舞台挨拶もあります。行かない手はありません。満席必至と思われますので、どうかお早めのご来館を。「牧場の朝は早いぞ~!」
(肥田)

コメント

非公開コメント

motoei_staff

元町映画館スタッフブログです。
おしらせや上映作品のみどころ、
日々のなにげないつぶやきなどなど。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。