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いやね、全然期待していなかったんです。

『フェアウェル―さらば、哀しみのスパイ』にも出演している
有名俳優ギヨーム・カネの監督作品。

初監督作品ではないけれども、監督2作目。
サスペンス映画にしてはちょっと長めの上映時間。

これはもう俳優としての知名度を武器に企画された、
監督の独りよがりが披瀝された駄作だろう、と。
しかも、三大映画祭週間という企画なのに、
三大映画祭に出品されてはいないではないですか。

これはきっと面白くないに違いない。
ギヨーム・カネという名前だけで上映されるものだろうと
たかをくくっていたのです。

しかしその期待は(もちろん)良い意味で裏切られました。
単なるぼくの偏見でした。

『唇を閉ざせ』は、俳優たちの顔が画面に緊張感をもたらす、
引き締まった娯楽サスペンス映画です。

出演者が豪華なのです。
主演のフランソワ・クリュゼはまさに主役だからともかくとして、
8年前に殺された妻役はマリー=ジョゼ・クローズ
(『潜水服は蝶の夢を見る』)、
主人公の姉役でマリナ・ハンズ(『隠された日記』)、
妻の父役にはトリュフォーやロメールの
作品に出ていたアンドレ・デュソリエ、
さらにはあんな役でクリスティン・スコット・トーマス、
ジャン・ロシュフォールやナタリー・バイまで
出演しているという主役級の俳優が多数揃っています。
ギヨーム・カネ自身も少しだけ出演。

名前まではすぐ出てこないけれども
どこかで観た顔がたくさん出てきて観る人を飽きさせません。
いや、観客は「どこか観た顔」という記憶すら必要としないでしょう。
優れた俳優は映っているだけでその画面に色がつくというか、
求心力をもつものです。

8年前に妻を殺され、自らも重傷を負った事件の
真相を追究するというのが基本的な筋なのですが、
こういった「いい顔」の俳優が出るたびに
「次はどっちに話が進んでいくんだろう」とわくわくとさせられます。

U2の音楽が効果的に使われていたりとか、
フランスの社会階層の問題(主人公に味方をするのは低所得者層です)
が折り込まれていたりとかそのほかにも語るべきところは多い作品ですし、
いや実のところ、肩に力が目いっぱい入った
「渾身の演出」はいくつか見受けられて
ぼくが懸念した新人監督の欠点がみえなくもないのですが、
色とりどりの出演者の顔こそ
この映画のもっとも魅力なのではないでしょうか。

131分間は全く長くなかったです。

(aka_kappa)


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