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逃げる。ひたすら逃げる。目的はただ一つ、生き残るだけ。

シンプルな目的を持った主人公が好きだ。

9/19(土)から公開される『ベルファスト71』はこんなお話だ。

1971年、イングランドで主人公ゲイリー・フック(ジャック・オコンネル)は軍隊で訓練に励む新米兵士。そんな彼に命が下る。イギリスとの連合維持を求めるロイヤリスト、独立と統一を望むナショナリスト、さらにはIRA(アイルランド共和国)の正統派と暫定派による内紛が起こっている北アイルランドの首都ベルファスト。まさに一触即発の地帯。その境界線に彼は仲間とともに作戦に加わる。


始めは冗談を言い合ったり、笑いあう。普段と変わらない状態だった。しかし、だんだんと様子が変わる。住人の罵声、視線、ゴミ箱のふたを床に打ち付け、何かの合図をしている。“何かおかしい”隊員の表情が一気にこわばり、不安感が伝わる。

作戦は銃の不法所持の疑いのある家を捜索する現地の警察を補佐するだけ。それだけだった。作戦に不満を持つベルファストの住人は詰め寄り、次第に暴徒化。抗議のため、石を投げてくる。隊員と住人の言葉の投げ合い。一瞬の隙をついて、こどもが隊員から銃を奪う。奪われた銃を仲間と奪い返しに行くゲイリー。しかし、その行為が彼を一気に絶望へと突き落とす。


まず、大前提でこれは徹底的なリアルを追求している。ゲイリーを演じるジャック・オコンネルはオーディションを勝ち抜き、最終的には審査員の全会一致で抜擢されたそうだ。銃の扱いも軍で指導を受けてから臨み、町並みも当時のベルファストの不穏な空気を出すためにセットを設けて撮影したそうだ。

そのリアルは物語中盤の重要なシーンで一気に現れる。恩人が一瞬で死ぬ。ゲイリーも瀕死の重傷を負う。事態がうまく飲み込めない状況でぼんやりと視界に入る、泣き叫ぶ姿。1人の出来事でありながら観客全員に現場の状況を音と映像で伝える凄いシーンだ。映画でありながら、現実を突きつけてくる。

さらに注目してもらいたいのが、主演のジャック・オコンネルの動きだ。この映画には最小限の会話しか出てこない。徹底的にセリフを削り、思いを身体で表現している。これは物語の緊迫性を高めるためだそうだ。敵か味方かも分からない状況でゲイリーは迷いながらも生きるために人を殺める。そこに言葉はなく、手、足、首の動き、腰の位置で見ている我々に訴える、“生きて帰る”と。

あくまでこの映画は実際の出来事を描いた戦争映画だ。そしてわたし自身、アイルランド紛争のことを詳しくは知らなかった。監督曰く「この映画を見れば、すべてわかるようになっている」という。

奪う、狙われる、逃げる、隠れる、守る。何度も上下関係が逆転し、この映画を見たあと、あなたはどう感じるでしょうか。

登場人物の目線、仕草、掛け合い、見逃して良いシーンはこの映画にはありません。
ルールはありませんが、目を離さずに見てもらいたい。

(芋羊甘)
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