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アレクセイ・ゲルマン監督全作レビューその②『戦争のない20日間』(芋羊甘)

『戦争のない20日間』
1976年|ソ連|102分|35mm
原作・脚本:コンスタンチン・シーモノフ
出演:ユーリー・ニクーリン、リュドミラ・グルチェンコ、アレクセイ・ペトレンコ


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生きている間、自分は戦争に直面するのか。
そんな疑問がわいた。

舞台はソ連、ロパーチン少佐は従軍記者であり、戦時中ではあったが、
ある映画の監修のために20日間の休暇を取ることになる。
戦争という異常な状態の中での休暇。
しかし監修とは別に、友人の死を知らせるという大きな役割も彼にはあった。
故郷に戻るまでの汽車の中で延々と同僚の浮気話を聞かされる。
ここでは重要なのは、浮気話ではなく、窓から見える外の景色。
その景色が休暇中であることを再認識させてくれます。


故郷に戻ったロパーチン。
妻との別れを決断していたのにも関わらず、逆に妻を違う男に寝取られていることを知る。
その時の何とも言えない空気。
カメラは後ろから彼を撮る。
私たち観客は後ろ姿で彼の感情を読み取ることになる。


そして映画の撮影現場へ。そこはなんだか異様。
しかし撮影風景を見学している彼の姿にはすぐに溶け込みます。
休暇の間には服飾関係の女性とも良い関係になり、
20日しか滞在できないと知りながら、当たり前のように恋愛をする。
戦争という状況だからこそ、二人の関係はより一層、絵になる。応援したくなる。

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この映画は日常に存在する恋愛や離婚といったことが
戦争中であるのにも関わずいたって普通に描かれている。
しかし随所に空襲によって倒壊する建物、それにより亡くなる人、戦意高揚のための演説。
特に映画を撮影しているシーンでは戦時中にも関わらず、多くの人がそこに集められ、
演者、スタッフと一致団結して撮影している。これも映画の現場では当たり前の光景だ。
このシーンのロパーチンの表情に注目したい。
疲れているのでも、呆れているでもない。
モノクロの映像を通して見える彼のうつろな表情が
戦争中の混沌としたものを表現しているように感じる。

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ロパーチンが見てきた景色を我々は画面を通して見ることができる。
彼に訪れる出逢いと別れは現代の誰にでも訪れることだ。
ただ違うことは戦争によって得た出逢いは戦争によってリセットされるということだけだ。

(芋羊甘)

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