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まずは、皆さんが気になるのはタイトルでしょう。

必ず一度は(わざと)キタナイと読んでしまう。
フィリピン語でしょうか。

で、どういう意味かとネットで見てみたら、
「切り刻み」とか「虐殺」とか「めった刺し」
そんな言葉が並んでいました。
なんだスプラッターかよ。と思われるかもですが、
これがいたって真面目な社会批判
あるいは暴力否定映画になっております。

暴力否定といっても、壮絶で陰惨な場面
(レイプや死体を切り刻むなど)が描写されます。
怖いです。
ブリランテ・メンドーサ監督ヤバイです。

私の唱える「逆なで三人衆」(なんじゃそれ?)で言うと、
ギャスパー・ノエさんのようにスタイリッシュでもなく、
ラース・フォン・トリアーさんのようにファンタジーでもなく、
一番近いのは御大ミヒャエル・ハネケさんですね。

ちょうど、真面目に暴力を描いて暴力反対を唱えている所でいうと
『ファニーゲーム』に似ているかなと。
ドキュメンタリーのようにリアルに観客を映画の中に引きずり込み
逃げられなくしてしまう手腕はハネケさんの怖さと似ています。

主人公は警察学校に通う、警察のタマゴだ。
結婚したばかりでとても幸せそうだ。
そんな彼が「金になる仕事場」に
「ちょっと」行ってみることにしてはあまりにも衝撃の体験をして、
もう後には戻れなくなってしまう。という話だ。

この映画は朝から次の日の朝までの1日の物語だ。
オープニングの朝とエンディングの朝は
街で堅気に働いている人々にとってはいつもの朝であり、
単なる「次の日」でしかない。

しかし主人公の青年には
たった24時間前とは全く違う世界に見えているのだ。

活気のあるとても明るい一日が始まる。
ほのぼのしたマニラの庶民の暮しを延々と描く。
しかし夜になると一変、全く違う描写になり、観客を不安に陥れる。
夜の街を延々とワンボックスカーに乗って
なかなか「仕事場」に到着しないのが閉塞感で息が詰まりそうになる。
恐怖感を煽る。
それが最後までノンストップでぐいぐいと引き込まれていく。
いや「引きずり込まれる」のだ。
まるで主人公の横に立って「現場」に一緒にいる感じだ。
帰りたいが帰れない。どうしようもない苛立ちと恐怖が
主人公ばかりでなく観客である自分にも襲いかかるのだ。

主人公のように、警官の安月給では家族を養えないと、
汚職や犯罪に手を染めてしまったり、
殺される女性のように、一人で子供を育てるために、
夜の仕事をし、やくざと知り合いドラッグにハマってしまう。
そんな社会の現実を描き、
観客に解決することのない問題を提起しているのだ。

そんなレベルの社会派ドラマなら
フィリピンではたくさん作られているに違いない。
しかし、本作の監督ブリランテ・メンドーサさんはそんなレベルではない。

隊長が死体を刻んだあと、
石鹸をつけて髪や顔、腕の血を水で洗い落とし、
メガネをかけるまでの一連の動作を淡々と追いかける描写が怖い。
『冷たい熱帯魚』が好きな人には是非みてもらいたい。
園子温よりもブリランテ・メンドーサがどれぐらいクールでカッコイイか。

この作品は、カンヌ国際映画祭の監督賞を受賞している。
大島渚、ウォン・カーワァイ、エドワード・ヤン、
イム・グォンテクにつぐアジアで五人目の快挙だ。

ちなみに、この年のカンヌは
ハネケの『白いリボン』がパルムドールの年であり、
監督賞が本作の『キナタイ』、脚本賞が『スプリング・フィーバー』、
主演女優賞が『アンチクライスト』と元町映画館での上映作が多い。

恐るべし元町映画館!
さすが!
アカデミー賞なんて、くそくらえ!

(本文中、不適切な言葉があった事をお詫びいたします)

(おもしろ)

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