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ある日、金城綾子は高校時代の同級生、保坂由香里と再会した。
由香里は警備員の職についており、生活も貧しい様子。
そんな由香里を見かねて、綾子は自分の会社を紹介する。
人手が足りないという綾子の説得もあり、由香里はその会社で働くことになる。


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写真左:由香里(松岡恵望子)、右:綾子(梅野渚)

一見仲睦まじそうな二人。だけど、何かがおかしい。
一緒にご飯を食べに行っても、昔話に花を咲かせても、
由香里はどこか遠慮がちで、綾子はどこか高圧的。
その後綾子にプライベートにまで干渉され、次第に追い詰めらていく由香里。
綾子には、ある思いがあった。


私がこの『FORMA』を見て、二つの作品を思い出しました。ひとつはミヒャエル・ハネケの『隠された記憶』、そしてマイケル・フランコの『父の秘密』です。

固定カメラ、長回し、劇伴なし、不穏で張り詰めた空気が延々と続き、静かな暴力が胸を抉る。終始不気味で陰惨な物語はこの『FORMA』にも共通していました。

『隠された記憶』で描かれていたことは「罪の意識」です。過去にあったある出来事、本人はそれほど気にも留めていないことが、ある人の人生をねじ曲げるような事だったと、主人公に思い出させる(罪の意識を植え付ける)お話でした。

『FORMA』の綾子と由香里の間には昔何かがあったということが、何気ない会話から断片的に語られます。表面上はのほほんとしているシーンでも、心の中身は揺れ動き続けています。
綾子は由香里にどうしても確かめておきたい事がありました。その出来事が、今の空虚な生活を形作ってしまったからです。由香里には由香里なりの言い分があります。しかしどちらの話が本当なのか最後までわかりません。真実は謎のままです。


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もうひとつの似ている作品『父の秘密』。これは小さな発端から暴力が始まり、次第に激しさを増し、歯止めも効かなくなり、結果取り返しのつかない事が起こってしまう父と娘のお話です。コミュニケーションの重大さ。その場にいればどんな暴力にも人は身を染めてしまうこと。去年のベストにもあげた傑作だと思いますが、もう二度と見たくありません。

話がそれました。『父の秘密』で振るわれる最大の暴力は「無関心」そして「傍観」です。娘に振るわれる暴力、流血を固定されたカメラが延々と写します。周りの人間はまるで日常のひとつのように気にも止めません。そして私たち観客は嫌が応にもこの出来事をただ傍観することしか出来ません。映画の中の人間と同じように。だから胃が痛くなるんです…

『FORMA』のクライマックスは約24分間、固定カメラのワンシーンワンカットです。暴力、そして憎悪の連鎖を傍観する視点を、監督は観客に投げつけます。『隠された記憶』にあったような心の中のやましさ、罪の意識を見ている者すべてに植え付ける恐ろしいシーンです。

145分のアンチテーゼ。意識の奥底に沈めた小さな罪を掘り起こす。
そんな力をもった『FORMA』は、これからのインディーズ日本映画の草分け的映画になると思います。この作品を撮った坂本監督のこれからがとても楽しみです。

『FORMA』は元映の特別企画 「JAPAN NEW WAVEvol.2」にてシリーズのトップバッターです。
『FORMA』だけではなく「JAPAN NEW WAVE」の作品はどれも光るものばかりです。
企画の詳細はこちらから→ 日本映画界の新しい波、是非みなさまも感じてみてください。

(栞)
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