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多数のお問い合わせをいただいております映画『チスル』。
先日6/14(土)にようやく神戸公開初日を迎え、おかげさまで満席立見でのスタートとなりました!

初日初回の上映後、当館2階に大阪市立大学の伊地知紀子さんをお招きし「済州・暮らしの風景から観る『チスル』」と題したアフタートークを開催いたしました。

チスルトーク

以下、簡単にトークの様子を記させていただきます。

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済州島の文化・暮らし
 済州島での留学生活経験をもとにたくさんのお話をお聞かせいただきました。済州島に留学した初の日本人ということもあり、家具もなにもない部屋を借りたところ、村中の人たちが必要なものを届けてくれたそうです。また生活ができるように=稼げるようにということで人参畑の仕事をくれたりもしたとのことです。
 畑では仕事が「できる/できない」に関わらず、「そこにいた」という事実があればきっちりと報酬が支払われ、また儀礼においても「具体的にどんな手伝いをしたか」ではなく「そこにいた」ことが重視され、お礼が渡されるそうです。儀礼で供される豚も分配・共有されるそうで、助け合うことが大切にされているこうした済州島の文化・慣習について伊地知さんは、「済州島が海に囲まれ、火山があり、必ずしも資源が豊富とはいえない島だからこそ、助け合いや平等な関係作りを目指す文化が培われたのではないか」、とおっしゃっていました。
 また大陸側の韓国と比較しても生活文化が異なり、例として「肉の出汁」と「魚の出汁」の違いがあげられました。済州島は「肉の出汁」を多用する大陸側とは異なり、「魚の出汁」を使った料理が多いそうです。さらに済州島の言語は韓国の「標準語」とかなりの違いがあるそうで、済州島の言葉がたくさん使用されている映画『チスル』は、韓国では韓国語字幕付きで上映されたとのこと。済州島はもともと耽羅国という王国があった土地で、韓国のなかの異国として、韓国国内の「済州のことを知りたい・見たい」という思いを映画『チスル』は受けとめヒットした、という側面もあるかもしれないというコメントをいただきました。

済州島に伝わる説話
 劇中で登場する甕(カメ)やジャガイモ(済州島方言で「チスル」)について詳しいお話をお聞かせくださいました。
 ソルムンデハルマンというとてつもなく巨大なお婆さんがいました。どれくらい巨大かというと、済州島の漢拏山に腰かけ、沖にある島々に足をかけ、済州島の東部にある牛島を洗濯板にして洗濯をするぐらい!
 ソルムンデハルマンには500人の子どもたちがいて、ある日子どもたちに水甕で水を汲んでくるように言いつけます。子どもたちが腹を空かせて帰って来ると美味しそうな粥が巨大な鍋に出来上がっており、500人のうち499人はこの粥を平らげてしまいます。
 しかし、最後のひとりが鍋を覗き込むと、そこには骨が。鍋に落ちたソルムンデハルマンは溶けて粥と一緒になってしまい、子どもたちはそうとは知らずに母を食べてしまったのでした。それを知った子どもたちは涙を流し、石になってしまったそうです。
 劇中でも甕を背負って水を汲みにいく少年兵のイメージがたびたび登場するのですが、ここにはソルムンデハルマンの説話の影響が見られるということでした。また『チスル』登場人物ムドンの母が殺され、家に火を放たれ、洞窟で生き残っていた息子ムドンが焼け落ちた家から焼けたジャガイモを持ち帰り涙を流すシーンについても、ソルムンデハルマンと粥の説話に基づいているのだろうというお話がありました。

済州島の人びとと4・3事件
 日帝時代には日本の側につき、4・3事件の際には討伐隊に寝返った人も多かったようですが、そこには生き延びるための必死の選択があったのでした。韓国といえば儒教と男性の力が強い社会というイメージがあるかと思いますが、済州島はケンダン文化と呼ばれる女系の力も強い社会で、そのため夫婦の男性側の親類関係のみならず、女性側の親類関係も重視されており、人間関係が広範にわたり、村のなかで生活をしていると濃淡はあれどたくさんの親戚に囲まれて暮らすことになるようです。
 したがって、村の知人が討伐隊に寝返ったからといってすぐに批難したり排除したりすることはしなかったようです。とはいえ、もともと相互扶助や相互参加によって助け合いながら生活をしていた済州島に4・3事件が残した事件の爪痕はけっして浅くはなく、済州島で長い時間をかけて培われてきた水平的な人間関係に事件がもたらしたものはなんだったのかをこれからも語り継いでいかなければならないのではないか、という言葉でトークが終えられました。

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済州島での生活経験をふまえた貴重なお話をお聞かせくださった伊地知さん、トークにご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました!
映画『チスル』は7月4日(金)までの上映を予定しております。
みなさま、けっしてお観逃しなく!



(たけむら)
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