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5月31日、奈良県立大学の亀山恵理子さんをお招きし、「インドネシア9・30事件と過去の痛み」と題した映画『アクト・オブ・キリング』のアフター・トークを開催しました!

act talk

『アクト・オブ・キリング』で言及される虐殺事件は一般に「9・30事件」と呼ばれており、この事件にいたる政治的な背景、事件後のインドネシア社会の様子について亀山さんにお話していただきました。以下、簡単に亀山さんのお話をまとめさせていただきます。

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事件の背景
 当時、東西冷戦構造のもとにあったインドネシアは共産党と国軍によって政界が二分されており、スカルノ大統領が両者の均衡を維持していました。ところが、国軍の兵士が殺されるという事件(厳密にはこの事件が「9・30事件」なのですが、一般にはその後の大虐殺を含めて「9・30事件」と呼ばれます)が起こり、次第に共産党・共産党関係者への弾圧が始まりました。
 この事件後に政権を掌握した次期大統領スハルトは、西側諸国からの投資・経済的支援を獲得するために、よりいっそう反共の姿勢を強めました。「共産主義者=悪」というプロパガンダを流し、共産党員のみならず、その家族や関係者までもが差別を被ることになったそうです。また共産主義者のレッテル貼りがなされ、裁判を受けずに不等に投獄されるといったことまで行なわれました。
 また土地の利権をめぐる争いなどといった経済的な揉め事によって生じた対立も、本来ならば殺戮の動機にはとうていなりえない些細なものだったとしても、社会に広まった反共プロパガンダなどの影響もあって、虐殺への動員を生み出したのではないか、とおっしゃっていました(とはいえ、事件の原因を簡単には特定できない、ともおっしゃっていました)。

事件の影響
 ひとことでいえば、「インドネシア社会のなかに亀裂が生じたこと」だそうです。もともと多様な宗教や民族が均衡をたもちながらインドネシアを形作っていたのですが、そこに「共産主義者=悪」と「それ以外」という深い溝が生じたということです。
 スハルト政権時代に投獄され、その後ようやく出獄し久しぶりに自分の子どもとの再会を果たしても、反共プロパガンダが流布した社会で育った我が子が自分のことを怖がるという事態も起きているようです。また「9・30事件」について話すこと自体がタブー視され、被害者が社会のなかで声をあげることができないという状況もあります。

これから
 徐々にインドネシア内部でも「歴史の掘り直し」が行なわれつつあるのですが、それらはNGO、民間団体による活動にとどまっており、いまだ政府レベルでの真相究明に向けた動きはないようです。
 また亀山さんは、『アクト・オブ・キリング』の終盤で(虐殺の加害者である)アンワル氏が嗚咽するシーンについて、「アンワル氏は反共プロパガンダが蔓延した社会、『9・30事件』を肯定してきた国家の物語のなかに、過去に自身がおこなった虐殺の経験を(英雄的なものとして)位置づけてきた。しかし、映画を通じて、自らの内に沈め込んでいた、いままでは幸か不幸か向き合わずに済ませてこれた自らの『傷』に気がついてしまったのではないか」とおっしゃっておられました。
 亀山さんは、ひとりひとりが「過去」を国家の大きな物語(正史)のなかで位置づけたり意味付けたりするのではなく、「過去(の痛み)」をそれぞれひとりひとりの経験として位置づけ、またまわりの人がそうした過去に耳をかたむけ、「亀裂」に目をむけていくことが大事なのではないかと話されていました。

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亀山さん、充実のトークをどうもありがとうございました。

またお客さまからの質疑も活発でした。
ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました!

映画『アクト・オブ・キリング』は6月13日まで上映予定です。
まだご覧でない方は、ぜひ劇場まで!



(たけむら)
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