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5/26当館で公開された『シネマパラダイス★ピョンヤン』
この公開を記念してこの映画のパンフレットに寄稿もされている京都大学教授の小倉紀蔵さんのトークを開催しました。
今回の映画は北朝鮮の映画ではありません。
シンガポールのドキュメンタリー作家ジェイムス・ロンさんが撮った6年間の長い取材から一本にまとめた映画です。

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「余韻はそれぞれの方に味わって頂きたいけれども、議論をしてみたくなる映画だった。」と語る小倉さん。

小倉さんがこの映画を観るのは3回目で、通して観て判った事は
どうして北朝鮮という国が今も成り立っているのか、残っているのかという事。

劇中、北朝鮮のベテラン監督が役者に指導します。
「ありのままの君じゃダメなのだ。全てを演じなさい。」と。
これはつまり、国家を消滅させないための、国家の根本的な思想を演じるということ。
日本にとってこの感覚は縁遠いものだし、若い人もうそ臭いと感じるかも知れません。

しかし北朝鮮という国家は過去の日本、大日本帝国時代をかなり模倣しようとした国です。
どうして日本の隣に朝鮮半島があり、北朝鮮という国があるのか。
「北朝鮮をどうみるかという事は、私達日本社会をどう見るかという事と、強くリンクしている事だ」と小倉さん。

60年代の日本政府、左翼の人だけではなく、リベラル派、世論、知識人たちも
北朝鮮を地上の楽園、天国だと賞賛していました。
当時は共同体を大切にする社会主義ような思想だったからです。
80年代には廃っていったそんな流れはなくなり、今の日本はどう思っているのか。

一つは完全否定。
なぜならそこには自由はないし、人権も滅茶苦茶。
経済が破綻し、核、拉致など問題が山積みの暴力的な国家。
北朝鮮に対するいいイメージはひとつもありません。

しかし北朝鮮、そして日本社会というものを平行して見てきた小倉さんは
この国家にも何か賞賛すべき軸があるのではないか、と思えてきたそうです。
もちろんすべてを肯定するわけではありません。

小倉さんは今現在の日本社会は壊滅的な状態にあると言います。
それを救う軸も人も術もないと。
しかしそれに対して北朝鮮という国家は
自分たちの事は自分たちで考えようとしている国であると。
そこが根本的な魅力であると。
アメリカという国の経済軸を見本にするというモデルに対する、もうひとつの軸に成りえてたかもしれない。
ただそれに成功をしていない。経済もことごとく失敗している。
しかしそれでも自分たちの国は自分たちでつくろうとしている国家。

今の日本社会は個人を慮る事を主流としています。
あなたという個性が、ただそこにいるだけで、あるがままの姿でいるだけでいいんだ。
そういった風潮です。
これに対し北朝鮮は個人というものはそこにいるだけでは意味がないと言っている。
あるがままではダメなんだと言っている。
国家を変えるためには自分を変えていかなければいけないのだと。

大きな理念を持って自主的に個人を変えていこうとする。
そこが魅力的で賛同できるひとつの軸であるとおしゃっておりました。

この後、予定時間を大幅に超え、トークに来られたお客様との
約二時間にもおよぶ議論。また映画を見に来られた若い学生の方々の感想会がありました。
知識量が豊富な小倉さん、お客さんの素朴な疑問にもすらすらと答えておられました。

若い方から見た映画の感想は
今までに見たことがない北朝鮮の一面が見れた事が印象的だったと意見が多々ありました。

「中学校みたいな雰囲気で、ちょっとふざけたりしたりしても一生懸命で、
実は私たちよりも生き生きしてるんじゃないかと、うらやましい面もあった。」


「北朝鮮に対する悪いイメージが多く、すべて疑って映画を見てやろうと思ったけど、
兵士の人は機械的なものじゃなく、恥ずかしがったり、笑ったりと私たちとおなじような人間だったということが分かった。」


この映画は国の検閲を受けてもちろんシーンも選別されてあります。
しかし表情の裏にある感情はそのまま感じ取れます。
普段マスメディアが報道していないお茶目な一面が見れる事ができるのです。

『シネマパラダイス★ピョンヤン』は5/30まで上映中。
スケジュールはこちらから⇒

小倉先生、今回トークショーにお越しくださったお客様
ありがとうございました。

(栞)



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