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巨匠ラウル・ルイスの最後の企画を、
ルイスのパートナーであるバレリア・サルミエントが映画化した『皇帝と公爵』。
ナポレオンが率いるフランス軍と、
ウェリントン将軍が指揮を執るイギリス・ポルトガル連合軍の激突、
そして戦争の裏で繰り広げられる様々な人間模様を描き出すドラマです。

3/9(日)、神戸大学大学院国際文化学研究科教授の坂本千代さんをお招きし、
「ナポレオン戦争時代の女性・庶民—フランス側から」と題してトークを開催しました。

坂本さんは19世紀を主とするフランスの文化・文学を専門としていらっしゃるので、
今回のトークでは映画に描かれた戦争の背景と合わせて、
ヴィクトル・ユーゴーやジョルジュ・サンドの文学で描かれた戦争や当時の人々、
さらに同時代の画家による絵画などを紹介しながらお話していただきました。

ナポレオンは1789年のフランス革命の後継者(=フランスの守護者)であり、
よく知られているようにその後皇帝となった人物です。
フランスから見たら英雄ですが、スペインやポルトガルから見ると侵略者であるという背景を、
スペインの画家ゴヤの残した一連の版画「戦争の惨禍」を紹介しながらお話されます。
イギリスのウェリントン将軍はナポレオンと同い年で、
ナポレオンに侵攻された同盟国・ポルトガルを助けるために上陸します。
ウェリントン将軍は非常に策に長けた人物で、仏軍が来る前に小麦の収穫を終えておくなど
軍の物資、食糧の補給に手を尽くしていたことが最大の勝因だったと坂本さん。
食糧不足による流浪を余儀なくされた仏軍はどんどん勢力を失ったそうです。
また、映画ではメルヴィル・プポー(『わたしはロランス』のロランス役の彼です)が
演じていたフランス軍のマッセナ元帥はかなりの女好きらしく、
軽騎兵隊の制服を着せて戦地へも愛人を連れて歩いたそうです。
映画ではキアラ・マストロヤンニがその役を演じています。

ここで一人の女性の肖像画が紹介されました。
軍人の愛人となって戦地を巡り、その後別の軍人と結婚したこの女性
ソフィ・ドラボルドは作家ジョルジュ・サンドの母親なのです。
「レ・ミゼラブル」で知られる作家ヴィクトル・ユーゴーも親がナポレオン世代で、
ふたりの作品にはナポレオンの影が色濃く出ています。
サンドの「愛の妖精」や「田園四部作」で登場する農民たちは
「偉大な皇帝」などと称してナポレオンに賞賛を惜しまず、
ユーゴーの「レ・ミゼラブル」ではナポレオンは「天才」で、
対するウェリントンは「普通の策士」と言われているそうです。

でも、と坂本さん。
ナポレオンの失脚後の王政復古には不満を持つ者が非常に多く、
「ナポレオン時代は良かったなぁ」と国民のナポレオン評判がどんどん上がり、
結果としてナポレオン神話が誕生したのだと話します。
負けることにより、敗北者が英雄になった—
ナポレオンの栄光は王政復古によりもたらされたものだと言えます。

歴史はいろんな側面から見ることでぐんぐん面白くなる。
そんなことを体感できたトークでした。
『皇帝と公爵』は3/14(金)まで毎日10:30から元町映画館で上映しています。
まだ未見の方は、このレポートを読んでから観ていただくと
ちょっと面白いかもしれません。

坂本さん、どうもありがとうございました!

(mirai)

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