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去る2月15日、『おじいちゃんの里帰り』の上映にあわせ、石川真作さん(京都文教大学客員研究員/文化人類学)をお招きし「『移民国家』となったドイツとトルコ人」というテーマのお話をしていただきました。

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まず石川さんから「トルコとドイツの関係やその歴史について詳しい方からすると若干の物足りなさはあったかもしれない。しかし、当のドイツ人やドイツにいるトルコ人のなかにも2国間の歴史についてよく知らないひとも多いため、そうした背景をかみ砕きながら、誰もが楽しめる作品にまとめていたのがよかった」とのコメントをいただきました。

ドイツには、トルコにみずからのルーツをもつひとがひじょうに多く住んでいます(ドイツでは、いろいろな国にルーツをもつ人がいるなかで、いちばん多いのがトルコ)。1950〜60年代に、ドイツは外国人労働者雇用政策をおこない、トルコからの移民労働者を大量に受け入れたためです(1961年にはドイツとトルコ間で雇用に関する2国間協定が締結)。

しかし、オイル・ショックの影響もあって1973年には労働力募集がストップ。とはいえ移民労働者の家族は受け入れることになり、その後もドイツ在住のトルコ人は増えていったそうです。1978年には「統合」政策(『統合』ということばの意味に関しては、たとえばこちらをご覧ください→独立行政法人 労働政策研究・研修機構『欧州における移民受入れと社会統合の展開』)が打ち出されましたが、政権の交代などもありなかなか有効な政策は打ち出されませんでした。さらに80〜90年代のヘルムート・コール政権では「ドイツは移民国家ではない」という宣言がなされ、移民労働者の周辺化・不可視化が進みました。

事態が少しずつ変わり始める契機となったのは1999年の国籍法改定です。それまでのドイツでは「血統主義」(どこの国籍を持つ親から生まれたか)によって国籍が与えられていたのですが、この国籍法改定にともない、部分的に「生地主義」(どこで生まれたか)が導入されるようになりました。また23歳で国籍を選択できるようにもなりました。
ドイツ生まれのドイツ育ち、しかしトルコにルーツをもつサッカー選手のイルハン(元トルコ代表)と、同じくトルコにルーツを持つにもかかわらずドイツ代表であったメスト・エジルの違いは、この99年の国籍法改定をどの年齢で迎えたかの違いによるところもあるだろうという指摘もなされました。

また2004年には計画的に移民を導入するための移民法が制定され、ドイツは2005年に自らが「移民国家」であると宣言しました。このことは1978年以来議論が停滞していた移民「統合」政策の議論を後押しすることになり、2007年についに移民を社会に受け入れるための「国家統合計画」が打ち出されることとなりました。

「国家統合計画」はなによりも移民を社会に統合するための施策であり、具体的にそれは移民のドイツ語習得のためのコースの拡充や、学習支援、また職業教育や大学進学機会の拡大といったかたちでおこなわれました。

しかし、こうした国家レベルでの施策の他にも、州レベルでも移民団体や経済界、またメディアなどが移民の社会参加を促進するための活動を始め、またそれまでなかなか正しく認知されていなかった移民のコミュニティの側からも、自分たちを知ってもらう動きがみられはじめました(モスクを開放するなど)。そうした地道な草の根レベルの運動の結果として、それまでドイツ社会から分離・隔離され、見えないままだった移民のコミュニティが次第に可視化されはじめてきている、ということでした。その例として、移民排斥を訴えるデモが起きたときに、地域住民が移民たちとともに暮らしていくことを主張し移民排斥デモを阻止したというニュースが紹介されました。

最後に劇中にも登場する「労働力を呼んだが、来たのは人間だった」ということばをとりあげながら、移民政策のないまま海外からの「労働力」に頼ろうとしている日本の現状について、わたしたちも考えていく必要があるのではないかという問題提起をしていただきました。



映画『おじいちゃんの里帰り』はこうした歴史的背景をもった家族の物語を、だれもが楽しめる心温まるお話に仕上げた素晴らしい作品です。元町映画館では2月21日(金)まで、連日12:40〜の上映となっております。
まだご覧になっていらっしゃらない方は、ぜひ劇場までおこしください!

石川さん、スペシャルトークどうもありがとうございました!

(たけむら)
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