上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
torawarebito_talk_1.jpg

フィリピンの気鋭監督ブリランテ・メンドーサの新作『囚われ人』初日、
大阪大学准教授でフィリピンのイスラム社会を専門としていらっしゃる
石井正子さんにお越しいただき、上映後にトークを開催しました。

まずは映画の舞台となったパラワン島からバシランへ、
その行程と周辺地域の状況を地図を見ながらお話しいただきました。
実はフィリピン南部に位置するこの地域は、
フィリピン政府からもマレーシア政府からもあまり目が届かず、
この映画にも登場する武装勢力アブ・サヤフなどの拠点となっているそうです。
そして数日前にもイスラム系武装勢力であるモロ民族解放戦線と政府軍が衝突、
住民約200人を「人質」として緊張が続いているという。
(※一時休戦のニュースも流れましたが、どうやら交渉は決裂した模様)
フィリピンは90%以上がキリスト教徒という国ですが、
5%のイスラム教徒はほぼ南部に集まっているとのことです。

アブ・サヤフの成り立ちや映画でリーダーとして描かれている人物について、
そしてモロ民族解放戦線、モロ・イスラム解放戦線などの詳細な説明もあり、
映画では決して語られない“犯人側”の背景が次々と見えてきます。
これはアフタートークの醍醐味。
いま観た映画の記憶にぐっと奥行きが増した気がします。

実際のこの事件では、解放されずに377日を過ごした後、
政府軍の十字砲火によって救出されたのはたった1人。
そのアメリカ人宣教師の妻が出版した手記を元に
(夫はこの政府軍の攻撃により銃弾を受け死亡)
監督はイザベル・ユペール演じるテレーズの役を創作したそうで、
テレーズの体験はほぼ彼女の体験に沿って描かれていると石井さん。
この映画の75%はほぼ事実通りで、25%の創作を混ぜているとは
監督インタビューでも本人が言っていましたが、
テレーズの役は創作ながら、彼女の体験していることはほぼ事実通りなのです。
後半はこの手記を中心に、映画と照らし合わせながら
創作の部分を探ってゆくお話でした。
これはまたブリランテ・メンドーサ監督の創作脳を紐解くようで面白い!

そして映画でも印象的に登場する、フィリピンで「マロン」と呼ばれる筒状の布。
「これが本当に便利なんです!」と話す石井さんに実際に持って来ていただいて、
便利な使い方を実演していただきました。

torawarebito_talk_2.jpg

身体を通してきゅっと結ぶだけ。衣服にするのは本当に簡単!
「涼しいですよ〜」と石井さん。
鞄にもなるし、映画では用足しに使ってましたね…。

そして日除けにはこれ!というスタイル。

torawarebito_talk_3.jpg

身体を通さずに頭の後ろで結び、筒を広げながら身体を通します。
会場からも「おお〜!」と歓声が。
柄も非常に美しく、綿で肌触りも良いので思わず欲しくなっちゃいました。
現地でも筒状で売っているわけではなく、自分で縫い合わせているとのことです。

質問タイムでは、やはりフィリピンに行くのは危険なのかという声も。
前述したように南部は避けた方が無難だが、
本当に素晴らしい国なのでぜひ行ってほしいと石井さん。
人々はホスピタリティに溢れていて、本当にやさしくて、
日本で忘れかけていたものを思い出すと話します。
フィリピンという国が大好きで研究の道に入っただけあって、
フィリピンへの愛に溢れていた石井さんでした。

インタビューで「ドキュメンタリーを撮るつもりで映画を撮っている」と
ブリランテ・メンドーサ監督が語っている通り、
本作は撮影以前の出演者同士の交流を徹底的に避け、
順撮りにこだわって撮影したという手法もあって
本当にドキュメンタリーを観ているような緊張感に溢れています。
でもその一方で、非常に“映画的”な瞬間に出会うことも少なくない希有な作品。
このバランスがブリランテ・メンドーサ監督の魅力だと思います。
初めてフィリピンにカンヌの賞をもたらした前々作
『キナタイ・マニラ・アンダーグラウンド』も2年前に当館で上映し、
映画ファンを唸らせた傑作でした。
観る機会も少ないフィリピン映画、ぜひこの機会に観ていただきたいです。
9/27(金)まで上映しています。

石井さん、みなさま、どうもありがとうございました!

(mirai)

Secret

TrackBackURL
→http://motoei.blog.fc2.com/tb.php/389-464ce141
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。