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この映画は、
津波に家をめちゃくちゃにされた
お爺さんの独白から始まる。
そして、息子が亡くなったことが明らかになる。

インタビューは地震のひと月ちょっと後。

驚くのは、それらが淡々と語られることだ。
そして彼は、姿は変われど住み慣れた土地で
田んぼを耕し、畑を耕す。
それが、彼にとって
「当たり前のこと」だから。
自分の食い扶持は自分で確保する。
土地を持つものは強い。

行政は高台移転を計画し、
仮設への移住を促す。
しかし彼は自分の家を離れない。
妻は愛想をつかして一人で引っ越してしまう。
それでも自分は残り、
再びそこに家を建てることを夢見る。
初夏になると山に木を切りに行く。
そしてかろうじて残った若い衆を連れ、
祭り(喧嘩七夕という、山車がぶつかり合う勇壮なお祭り)
の準備に精を出す。

彼の主張は保守本流だ。
先祖の土地を守り、子供を増やし、町を繁栄させる。
行政には頼らない。

津波がまた来るかもしれない。
でも、そうしたらまた一からやり直せばいい。
津波も自然の一部、人間もまた自然の一部なのだから。
女陰と男根を祀った神社を信仰し、
家の棟上げ式には山伏を呼ぶ。
何だか、その独立自衛の姿は
アメリカの西武開拓民とも重なる。

先祖代々の土地を守る、という思想を、
私は田舎臭くて、非合理的で理解できない、
と思っていた。
災害の危険があるなら
安全な土地に移住すれば良い、と。
でも、この映画を見たら、
そう考える人のことがちょっとわかる気がした。
震災から僅か3ヶ月後に
何とか地元の祭りを成功させようとするシーンは、
涙が止まらなかった。

映画の最後、震災からほぼ一年後に家は完成する。
しかし、真新しい家の居間に
一人ポツンと座る老人の姿を見て、
私は決してハッピーエンドとは思えなかった。

息子はいない、妻もいない。

私たちは、時間が経てば経つほど
悲しみが深くなることを知っている。

(S/N)

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