
いやー良く出来た映画です。
まさに愛すべき映画です。
それは、本作のシナリオの完成度の高さで、
たったの1週間で出演者と出資社を集めたこと、
そして公開してわずか2ヶ月で
ハリウッドがこの新人の韓国人の脚本を買った
ということで、おわかり頂けると思います。
(この映画の宗教観がアメリカ人に解るのか?
と、ちと心配ですが)
本作の見所は、モチロン主演のチャ・テヒョンさんの
切れの良い、微妙な細かい芸にあるわけですが、
それだけではなく、物語の展開が巧みです。
最初から飛ばしまくりのテヒョンさんの、
長い長いコメディで
このまま最後まで続くのかと思っていたら、
終盤になって突然、
本当に“突然”やってくるオチに、
アレ?そっち行くん?
とまず最初はびっくりして、
あーーー、やられたー、ベタにやられたー。と。
その後、涙腺が決壊です。
感動の嵐です。
フイを突かれます。
後で考えると、
初めから解りそうなオチなんですけど、
なぜ解らなかったのか?
それは一生懸命主演のチャ・テヒョンさんが
そっちへ持って行かないように、持って行かないように
頑張っていたからなんですね。
その技術たるや素晴らしく、
そして、さらに監督のセンスもバチグンです。
終盤にいきなり持ってくる、そのオチ。
(そのオチのための映画なんですけどね)
そのオチのあまりの突然さに、
こちらの“やられた感”が出るわけです。
いや、やられた感といっても、悪い意味ではなく、
あまりの見事さに清々しいほどの“やられた感”であります。
そうすることによって、長い長い、コメディ部分が総て、
一本の線でつながるんですよね。
見事です。恐るべし、韓国映画。
今の日本のカス映画監督に爪の垢でも煎じて
無理矢理口を抉じ開けて飲ませたいです。
その語り口は、日本で似てると言えば、
内田けんじ監督でしょうか。
『運命じゃない人』とか似ているかも?
『猟奇的な彼女』からの本作と、
“振り回され役”をやらせたら世界一?の
チャ・テヒョンさんのコメディアンとしての巧さは、
安心してボケを任せれます。
ボケを任せれるというはとても大事なことで、
関西人なら解ると思うのですが、
ボケがヘタだと、安心して突っ込みきれません。
突っ込めないと、笑えません。
そもそも、関西人は皆、ボケの文化だと言われますが、
違います。突っ込みの文化です。
笑いに大事なのは、ボケではなく突っ込むことであります。
観客個人の突っ込みであります。
そもそもボケと突っ込みのタイミングというのはですね…、
あ、こんな話はいりませんか。そうですか。
ま、何にせよ。
この映画、“お盆に”見なさいと言うことです。
ボケに安心して、
何も考えずベタに大泣きできます。
(おもしろ)
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