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あまり表立っては示されない
ある女性への恋心。
些細な日常のできごとにも
鋭敏に反応する感受性。
ちょっと優柔不断で煮え切らない感じ。
そのくせやたらと強いその女性への関心。

今泉力哉監督の作品をみていて、
どっか懐かしい感覚を覚えていたのですが、
最近その正体はこれじゃないかな
というものをみつけました。

小学生だか中学生だか高校生だかで、
国語の教科書に載っていた文章に、
あるいは夏休みに(半ば無理やり)
読まされた読書感想文用の本は
こういう感じだったのではないでしょうか。

そう。

彼の映画は、近代以降の文豪たちが
書いた小説に似ているところがあるのです。

というわけでは、ぼくはいま、
今泉力哉監督を文学の匂いのする
作品を撮る監督さんとして認識しています。

そうそう、
今泉監督を知らない人も多いでしょうね。

商業映画としては、
昨年初長編監督作として、
音楽グループたまの解散後を追った
ドキュメンタリー『たまの映画』が公開され、
ほぼ同時期に劇映画『終わってる』も公開。
今年も短編監督作として
『ヴァージン』の第1話「くちばっか」、
MOOSIC LAB 2012の一篇『nico』が、
そして東京では7月からは
長編監督作として『こっぴどい猫』が
公開される新進気鋭の若手監督です。

年齢的には、1981年生まれで
去年元町映画館で公開した
『歓待』の深田晃司監督とも同年代。

ぼくが今泉監督に初めてふれたのは、
去年ちょうど『たまの映画』が
東京で公開される頃だったと思うのですが、
渋谷にあるUPLINKという映画館が
毎月発行している小冊子の中の
今泉監督のインタビューです。

細かいところは忘れてしまったのですが、
その中で彼はこう述べていました。

普通の劇映画は、日常生活では使われない
不自然な言葉が使われていておかしい。
自分の映画の中では自然な言葉を使う、と。

そう、文学の匂いがする彼の映画では
現在の若者が一般的に使う
話し言葉が使われているのです。
「え、マジで」とか
「すっげーうれしい」とか
「なぁにぃ」とか、
そんな会話から文学の匂いが
ただよってくるのです。うーん、すごい。

実のところをいうと、
ぼくは今泉監督のことを当初警戒していたのです。

というのも、
先ほどのインタビューで彼が述べていたことが
どうにもひっかかっていたのです。

いや、普通の映画では、
通常にはみられない言葉が使われているというのは
もっともで正しい指摘なのですが、
おそらくそういった不自然さをあえて出すのには
それなりの理由があるはずで、それを無視して
単に自然な言葉づかいをおこなっても
決して映画の質の向上には
つながらないのであろうとぼくは思っていたのです。

じっさいに、今泉監督以外にも
同様のことを述べた監督や俳優は多いのですが、
彼らのめざした「自然」がはたして
どれだけの効果があったかというと、
ちょっと首をかしげたくなってしまうものが
ほとんどだったように思います。

ときには、他人とは違ったことを
やっているんだという意識を、
それ自体にはそれほどの価値がないことにも気づかずに、
ただ観客に見せつけたいという
彼らの願望だけが目立ってしまい
鼻白む思いを味わうこともありました。

だから、今泉監督の映画をみたときに、
自然な会話でこんな繊細なことをできるものかと
よけいに驚きました。これはすごい、と。
普通の言葉づかいでもこんなことができるのか、と。
きっと普段からいろいろ観察しているんだろうなぁ。
かなり個性的な外見をしているけれど、
本当はシャイで引っ込み思案なんだろうなぁ。
運動神経もあんまりよくないに違いない。
とか、勝手な今泉監督像をこしらえてしまったり。
うーん。興味はつきません。

今泉監督の『ヴァージン』は、7月6日(金)まで。
『こっぴどい猫』も元町映画館で公開予定です。
そしてそして、今泉監督の妻、
今泉かおりさんも実は映画監督なのです。
初長編作の『聴こえてる、ふりをしただけ』は
ベルリン映画祭で、11人の子供が選ぶ
"子供審査員特別賞"を受賞したらしいですよ。
こちらも気になりますね。
『聴こえてる……』も元町映画館で上映予定って、
このあいだおもしろ支配人がTwitterで
つぶやいていたけれど本当なのかな。楽しみです。

(aka_kappa)

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