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思いがけなく静かなオープニング。

スタイリッシュに切り取られる香港の街並に
どこか哀愁を帯びたギターの音が重なる。

香港映画自体がなかなか公開されなくなっている
現在の日本の状況ではあるが、
いまや“世界の”ジョニー・トーにも引けを取らず
香港映画界を担う最重要人物とされているのが
本作の監督ダンテ・ラム。
香港映画特有の湿度の高さと疾走感の中に
どこか偏執的にねっとりと横たわる人間の“情”。
それが鬱陶しさを感じさせないのは、
銀残しで現像したような
渋くざらついた映像によるものだろう。
人間くささ/男くささを残しつつ
スタイリッシュに見せることに成功している。

一瞬スカッとさせて次の瞬間には
きれいさっぱり忘れることができるような
娯楽追求型のアクションではない。
“人間”を描きたいという
ぎらぎらした熱(欲望)をスクリーンから感じる。
地下の暗闇から、煌めくネオンから、空の青さから。
香港映画はこんな風に進化していたのだ。
やはり映画はスクリーンで観なくては。
そう感じさせるパワーがそこには溢れていた。

熱血刑事のトン、
愛娘を誘拐された敏腕検事アン、
半身不随の妻を持つ殺し屋稼業のホン。

社会規範的に正しいかどうか
なんてこととはまったく無関係に、
それぞれがそれぞれの「正しさ」に向かって
全力の疾走をしてみせる。
そこには狡さも嘘も虚飾に満ちた駆け引きもない。
ただ、自分の正義以外目に入っていないがゆえに
それぞれがボタンを少しずつ掛け違えており、
その隙間にサスペンスがするりと入り込む。
みながみな傷を抱えた手負いであり、
追いつ追われつが拮抗しているのもスリリングだ。

そしてパズルのピースがぴたりとはまるような、
バラバラに存在していた点と点が
一本の線として繋がるラスト。
それまで観てきたシーンが脳内で
ザザザザーーッと高速巻き戻しで再生され
すべての事象に合点がいく瞬間。
これはやはりハリウッド製のアクション映画のように
お茶の間で楽しめる類いのものではない。

ホンを演じるニック・チョンが素晴らしかった。
表に決して出さない苦悩を抱えた凄み、身体性、
激闘の果てに「デカ!来い!」と叫ぶ声の悲哀。
最後に彼は青空を、見ることができたんだろうか。

(mirai)

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