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イラク戦争帰還兵を扱った
二本の短編ドキュメンタリー。

しかし描かれているのは戦争の表層ではなく、
むしろほとんど戦場場面のない戦争。
ドキュメンタリーであるからこそ、
私たちにも投げかけるところの多い
作品になっているのでしょう。


『ポスターガール』

頑張って、あこがれていた仕事についてみて、
しばらくしてその現実の生活に幻滅した
というひとはきっと少なくない。
いや、仕事というものの現実は多くの場合、
挫折と幻滅の連続のようなもの、
そこから立ち直って、
はじめて本当の「キャリア」が始まるのです。

ただ…

ボーイッシュな風貌に
美しいアルトのよくマッチした女性、
ロビンの選んだ職場は、合衆国陸軍でした。

イラクの戦場で、上官は安全な装甲車の中から
機関銃手・ロビンに対して
街頭の市民への無差別の発砲を命令します。
「ふつう」の職場であれば、
そのような軽蔑すべき上司にはケリでもいれて
転職すればいいことだったかもしれません。
しかし戦場に派遣された兵士には
「辞職」の自由はない。
軍人の家庭に育ち、
ハイスクールではチア・リーディングのスター、
新兵募集のホスターを飾ったこともあるロビンの、
軍隊に対する幻滅感はそれだけに強く、
自己喪失感は深いものでした。

『ポスターガール』は、彼女が無力感から、
アートセラピーやさまざまな出会いを通じて
ゆっくりと回復していく姿を、女性監督サラ・ネッソン
(2011年アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門ノミネート)は
あたたかく見守っていきます。

ロビンの体験は確かに戦場という特殊な状況でのものでした。
しかし実社会で初めて現実に打ち破られた痛手から
立ち上がろうとするまでの物語は、
どの時代に、どんな仕事についた
若い(あるいはかつて若かった)人間にも、
なじみのあるものではないでしょうか。

作中、精神外傷を負った若い兵士たちの、
たくさんの絵画やコラージュ作品が示されます。

2011年の日本映画『無言館』は、
戦没学生が出征前に描いた絵画のコレクションを
紹介したドキュメンタリーでした。
『ポスターガール』は、生き残った若者たちの作品、
『無言館』の若者たちがもし生きて
作品を残す機会に恵まれていたら、
という思いを致させるものでもあります。


『IVAW 明日へのあゆみ』

トラウマからの立ち直りの道には、
もちろんさまざまなものがあるようです。

内省的なロビンとは対照的に、
元イリノイ州兵アーロンは
反戦運動へのかかわりを通じて
新しい生き方を模索しようとしているようです。

傷心を癒す一人旅への沈潜をへて、
同僚兵士とイラクへの謝罪と和解の旅、
そして「戦費にではなく、福祉に、働くものの給与に」
を求める運動に。
帰還兵たちも「州議会の占拠(オキュパイ)」に合流していきます。

小さな大学街マディソンにある
ウィスコンシン州議会のオキュパイは、
世界経済をいきなり問うような
ニューヨーク・ウォール街のオキュパイとはやや趣を異にし、
公務員削減・労働法規の軽視や
社会福祉の切り捨てに反対する住民運動として、
州知事のリコールを目標に、警察官や州兵を巻き込む
動きとして進められていきます。

上映にはこのオキュパイの取材を今も進める
マブイ・シネコープの木村修監督も連日来場・挨拶されます。
あるいは映画完成以降の新しい動きや
経験のご紹介もあるかもしれません。

(堀)

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