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  •  この映画の主人公であるマーク・ランディスは30年もの間美術館に自分が制作した贋作の美術品を寄贈し続けた男である。美術館は作品寄贈の問い合わせに喜んで応じ、まんまと彼の手玉に取られてしまったという話である。最終的に彼は彼自身の大規模な個展を開催するに至るのだが、それによって彼の行為の本質が損なわれてしまったのではないかと私は思う。 一般的に美術(=アート)は「自由なもの」と捉えられることが多い。60年... 続きを読む
  •  映像や写真は過去のものしか映しだすことができない。しかし過去を映しだすことができるからこそ、今はもう失われた人やものと画面上で出会うことができる。この映画は、いまはもう存在していないものを、ある仕方によって現代あるいは未来の人々に伝えることが、ドキュメンタリー映画の果たしうる役割であるということをもう一度考えさせられる。そういった試みは、かの有名なアウシュビッツの証言を記録したランズマンの『ショ... 続きを読む
  • 「神戸スポーツ映画祭!」がいよいよ開幕です。全部で6種目(=6作品)の上映がありますが、今回は「ボクシング映画」として選ばれた作品をレビューします。『キッズ・リターン』。北野武監督が描く青春映画です。フェイバリットに挙げる人も多く、熱狂的な支持を受けている作品として知られています。(たしか宮藤官九郎さんや松江哲明さんも公言していたはず…ちなみに宮藤さんは本作に出演しています。面白い役所なので探してみ... 続きを読む
  • 『知らない、ふたり』レビュー今泉力哉監督作品を観たい観たいと思いつつ、今回の『知らない、ふたり』が初見となりました。「恋愛」や「青春」といった要素を盛り込みながらも、これほど「好き」というテーマが強く感じられる映画はなかなかないのではないかと感じます。レオン(レン)は、自分の信号無視につられて横断歩道を渡って事故をしてしまった男性に対して今でも負い目を感じています。仕事場でも周囲とあまり関わりを持... 続きを読む
  • 《STAFF REVIEW》「ベルイマン黄金期」『第七の封印』 舞台は十字軍の遠征が終わって間もない頃のスウェーデン。主人公である騎士のアントニウスとその従者ヨンスは、10年にも及ぶ無益な遠征から帰国し、またそこで黒死病に脅かされる祖国と哀れな民衆の姿を目の当たりにします。アントニウスは海岸沿いである存在に気づきます。その存在は自らを「死神」と名乗り、アントニウスの死を宣告しにやってきたと言います。アントニウス... 続きを読む

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元町映画館スタッフブログです。
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